サンドイッチ法(Interpositional Osteotomy)骨造成術の難症例対応

「骨造成術」は、GBR法、サイナスリフト法、ソケットリフト法、あたりが多く使われる手法ですが、中には上記の手法では対応が出来ない症状の患者さまもおられます。
難症例に適応できる骨造成術として、医師の技術力が問われる方法「サンドイッチ法」があります。

当院では、骨の量が不十分であることが理由でインプラント治療を断られてしまい、大学病院に行くよう促された、と仰る患者さまが多くご来院されます。
そういった患者さまの骨造成術は、難易度が高い場合が確かに多いのですが、骨造成術に対する確かな技術を持つ医師に出会えれば、ほぼ全ての症例で骨の再生治療が行えます。

【サンドイッチ法とは?】

1977年ドイツで発表された治療法であり、2000年以降米国を始めとする医療先進国にて臨床データが蓄積され、術式が確立。

サンドイッチ法は骨の「高さ」が足りない場合に適用されます。
専用のプレートを利用し、骨を動かしスペースを作り、出来たスペースに粒状の骨補填材を充填することで骨量を増やします。

【サンドイッチ法の特徴】

サンドイッチ法の特徴として、顎骨の状態がかなり重症な患者さまに適応される骨造成術のため、日本国内でも症例は多くありません。
例えばですが、インプラント治療を行ったものの、歯科医師の技術がなかったために起こる感染症や、インプラント周囲炎などの症状を放置したために広範囲にわたり骨壊死してしまったような重度な症例に適応されます。

そういった場合、壊死した多くの骨を削り、新たに骨を増やしていく必要がありますが、幅はともかく、土台となる骨の高さを5mm以上、一度に増やす事は難しい治療となります。
特殊なプレートを用いたサンドイッチ法で、患者様の状態を随時確認しながら慎重に手術と経過観察を行う必要があります。国内でも症例が少ない技術のため、医師の技術力と経験が大変重要なものとなります。

【サンドイッチ法の歴史】

1977年D.Scettler(ドイツ)により術式が発表されました。
2000〜2010年代にかけてOT.Jensen(アメリカ)をはじめとし臨床データの蓄積、術式が確立され、
2010年後半以降はB.Le(アメリカ)らによって新たな材料やプロトコルに基づく技術が普及されている。

・使用する器具
ピエゾサージェリー(超音波骨切り器)
※ピエゾサージェリーとは?
硬組織だけを選んで切断ができる、三次元超音波振動を利用して骨を切削する新しい外科手術器具です。
これまでの方法では、粘膜や歯肉、神経や血管などの軟組織部を傷つけるリスクがありましたが、ピエゾサージェリーでは硬組織だけを切断できるので安全性が飛躍的に高まりました。
また、施術時間を短縮することができるというメリットもあります。

チタンプレート(固定用)

骨補填剤(粉末状)

【サンドイッチ法の長所】

5〜8mm程度の骨の高さを一度で確実に増やせる。
血管をつけたままの移植法の分類に当てはまり、抗菌薬の効果が血流により手術部に届きやすいため感染しづらく、仮に感染を起こしても最小限度のダメージで済む。
GBRに比べ術後の合併症(傷が開く、感染、造られた骨が吸収する等)が少ない。
仮骨延長術に比べ術後管理が極めて簡易である(ほぼ必要なし)。

【短所と短所に対する対応策①】

短所1

      1. 手術後に腫れが出る

短所1に対する改善策

    1. 手術後のスケジュールを考え手術日を決める。

【短所と短所に対する対応策②】

短所2

      1. 術前の歯肉の硬さ(当該部位の複数回の手術や事故などによる瘢痕がある場合)によっては目標とする位置まで骨を動かせない。

短所2に対する改善策

    1. 仮骨延長術を行いゆっくり骨と歯茎を伸ばす。

【短所と短所に対する対応策③】

短所3

      1. 骨の高さを増やすことはできるが幅を増やすことはほとんどできない。

短所3に対する改善策

    1. インプラントの埋め込みの際にGBRや自家骨移植により幅を増やす。

【サンドイッチ法の手順】


①インプラント体を埋入するときの骨の高さが足りない場合(4本以上連続して歯がなく、5mmほど骨と歯茎が無くなってくぼんでいる状態が適応)、歯茎の下の部分を切開し、骨に切れ込みを加える。


②目標とする位置まで骨と歯茎を動かす。位置を決めた後、専用のプレートを使い固定する。


③骨を動かすことによってできたスペースにはつぶ状の薬を充填する。


④切開した部分を縫合し、4〜6ヶ月経つと、骨を動かしてできたスペースに入れたつぶ状の薬が自分の骨に置き換わる。

術前の手術予定部位の周囲まで含めた骨と歯肉の状態の診断、
術中には周囲を走行する血管、神経の走行や骨片移動に配慮した骨切開のデザインとその部位を確実に分離させ、強固にプレート固定を行える技術が必要とされる。

この手術を成功させるには骨切開、骨移動、移動骨片の固定を伴う骨外科(Bone Surgery)の要素に加え、インプラント埋入ポジションを正確に逆算し3次元的に理想的な位置に骨移動させ固定をすることが必要とされます。
また、多くの場合インプラント埋入と同時に骨幅を増やすGBRや自家骨移植を併用するインプラント外科(Implant Surgery)とその後の歯肉の形態を整える歯周形成外科(Periodontal Plastic Surgery)の技術が求められます。

そのため行える医療機関が日本では少なくかつ手術適応症例数はさほど多くはないため手技の習得が非常に難しく高難易度の手術です。

【最後に】

今回ご紹介したサンドイッチ法は、難症例の患者さま向けの骨造成術です。
そのため医師のスキルや経験が他の骨造成術よりも求められます。
適応症例自体は多くはありませんが、当院では他院でお断りされてしまったような症例であっても医師の技術と設備が整っているため対応が可能です。

神奈川県横浜市にある「長津田南口デンタルクリニック」では、患者さまの抱えるご不安やお悩みに真摯に向き合い、治療後のサポートも15年の保証を付けて生涯食事を自分の歯のように楽しめるようになるためのサポートを行っております。
インプラント治療を受けていただく際は治療方法やインプラント体の特徴をご理解いただき、患者様ご自身で納得のいく選択が可能となるようサポート致します。
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