サイナスリフト 法/上顎洞底挙上術_骨造成術について

顎の骨の量が足りない場合に、インプラント治療をできるようにするために行われるのが「骨造成」です。

骨の量が不十分であることが理由でインプラント治療を断られてしまった、というご相談を受ける事があります。
しかし骨の量が不十分だったとしても、骨量を増やす治療は存在します。
一度断られても、骨造成が可能な歯科医院は、当院を含め存在しますので諦めずあなたの症例に対応可能な医師をまずは探しましょう。
骨造成には様々な種類があり、患者さまの骨の状態などによって選ぶべき術式が異なります。

今回は上顎の骨の高さが足りない方向けの治療方法である「サイナスリフト法」をご紹介します。

【骨造成とは?】

骨造成とは、痩せてしまった骨を増やす手術の総称です。
上顎の上の頬の骨の中は空洞になっており、その部分のことを上顎洞(じょうがくどう/サイナス)と言います。

上顎には上顎洞(じょうがくどう)という空洞が奥歯の上に存在するため、上顎側の歯が抜けると土台となる骨が痩せやすくなってしまう傾向があります。
インプラント体は上顎洞の手前の上顎の骨の部分に埋める必要があり、そのためには一定の骨の高さと厚みが必要となります。
しかし歯が抜けてしまったあと長期間放置していたり、年齢を重ねたことなどにより骨が痩せてしまうと、インプラント体を収めるために必要な骨が足りない場合があります。
そのような場合に骨の高さや厚みのを確保するために行う手術を骨造成といいます。

サイナスリフトとソケットリフトは、何らかの理由で痩せてしまった上顎の骨の高さを増やす治療法です。

上顎洞の底部に骨補填材を追加し、骨の高さを増やし長くて丈夫なインプラントを安定して埋入できるようにします。

サイナスリフトは多くの上顎の歯を失い、上顎洞の底部の骨が減っている場合や、そもそもの骨の高さが6mm未満の場合にて適用される骨造成術です。

【サイナスリフト法】

サイナスリフト法とは、上顎部分のインプラントを埋入するには足りていない骨量の再生手術の術式のひとつで、小鼻の脇にある上顎洞の底部に、骨補填材を使い再生療法、骨移植などの方法で骨量を増やす治療法です。

上顎洞底部から歯槽骨の先までの垂直的な骨の量が6mmに満たない場合に用います。

※7mm以上ある場合はソケットリフト法で対応します。(6~7mmの場合は年齢を考慮してどちらの術式になるかを決めます)

【サイナスリフト法の特徴/メリット】

サイナスリフトは40年ほど前から行われている手術で、世界的にも多くの論文が出されており多くのデータがある信頼できる治療法です。
大きなメリットとして、骨を広範囲で造成できる治療法のため、長さのあるインプラントが使え、また治療箇所を目視しながら手術をすすめることができるため、手術中のトラブルに柔軟に対応できるのが特徴です。

【サイナスリフト法の歴史】

【歴史】

1980年にPJ Boyneと RA James (アメリカ)により考案された術式が発表された。

【サイナスリフトの術式】

インプラント体を埋入するときに上顎の奥の骨の高さが足りない場合(残っている骨の高さが6mm未満)、上顎洞側面に骨窓を作りそこから上顎洞粘膜(シュナイダー膜)を専用の器具で上顎洞から剥離して挙上し、その挙上によってできたスペースに骨補填剤を入れて上顎洞に骨を作り、インプラント埋入手術に必要な骨の高さを獲得する方法。
術前の上顎洞の状態の診断、術中には周囲を走行する動脈や上顎洞内の隔壁(骨の突起)の処理、上顎洞粘膜の破損時の対応等と経験と技術が必要とされる手術である。

・使用する器具

【サイナスリフトの長所】
1.10mm以上の骨の高さを一度で増やせる。
2.上顎洞粘膜の破損時に修復対応ができる。

【サイナスリフトの短所と対応策】
1.ソケットリフトと違い、手術後に腫れが出やすい。
対応策:手術後のスケジュールを考え手術日を決める必要がある。

2.術後感染を起こした場合に上顎洞炎を引き起こす可能性がある。
対応策①:感染、上顎洞炎を引き起こすポイントを熟知し対応する。
対応策②:上顎洞炎を起こした際に適切な処置を行える医療機関でサイナスリフトの手術を受ける。

【サイナスリフト法の手順】

サイナスリフト法は、歯科医院や病院によって使用する器具などに違いがある場合がありますが、以下のような手順で進められます。

①麻酔

    局所麻酔では手術中の感覚が伝わり、恐怖心を感じてしまう患者様もいらっしゃいます。

    恐怖心や緊張を強く感じ、ご不安をいだかれる方には、静脈内鎮静法(リラックス麻酔)という眠ったような状態で怖い思いをすることなく手術を行う事ができる麻酔を併用することが可能です。

②骨補填材を充填するための小さな穴を作る

    手術予定の箇所の上顎洞の側方の歯肉を切開します。さらに剥離させ顎骨の側面を露出させます。
    歯肉や軟組織へのダメージを軽減し骨を切る事が可能な「ピエゾサージェリー」という超音波電動式骨手術機器を使用します。
    シュナイダー膜という上顎洞を覆う大事な膜を傷付けないように、インプラントを埋入予定の手術箇所の頬側の歯肉を切開し、露出した骨に慎重に小さな穴を開けます。

③骨補填材を充填する

    シュナイダー膜を破らないよう、細心の注意を払いながら剥離し、骨補填材を入れる小さなスペースを作ります。
    作ったスペースに必要な分だけの骨補填材で空間を満たします。骨に作った穴をふさいで剥離した歯肉を戻し切開した箇所を縫合します。
    サイナスリフトは、ソケットリフトよりも多くの骨を補填できる方法です。

④安静期間を経てインプラント埋入

    骨量が非常に少ない場合には約6ヶ月間骨の再生を待ち、その後インプラントを埋入します。
    同時にインプラントを埋入できた場合には骨補填材が骨に置き換わるまで約3~6ヶ月安静にしていただきます。骨が作られたことが確認できましたら、通常のインプラント治療の流れに沿って残りの治療を行います。
    ※骨が再生するのにかかる期間には個人差があります。

※ピエゾサージェリーとは?

硬組織だけを選んで切断ができる、三次元超音波振動を利用して骨を切削する新しい外科手術器具です。

これまでの方法では、粘膜や歯肉、神経や血管などの軟組織部を傷つけるリスクがありましたが、ピエゾサージェリーでは硬組織だけを切断できるので安全性が飛躍的に高まりました。
また、施術時間を短縮することができるというメリットもあります。

【最後に】

骨造成の手術は簡単なものではなく、医師のスキルや経験が求められます。
しかし、ピエゾサージェリーなどの手術器具などが充実してきたことにより、より安全に手術が行えるようになっています。
今回ご紹介したように、サイナスリフト法は6mm未満の場合に活用します。
骨造成は患者さんの希望だけで術式を選ぶことはできません。骨の量が少ないままインプラント治療をしても、5年、10年せずにインプラント体が抜け落ちてしまったり、インプラント周囲炎、さらには上顎洞炎をひきおこしてしまう可能性もあります。
主治医にしっかりと診察をしてもらい、最適な治療方法を選ぶようにしてくださいね。1つの歯科医院だけではなく、複数の歯科にセカンドオピニオンを依頼することも良いでしょう。

 

神奈川県横浜市にある「長津田南口デンタルクリニック」では、患者さまの抱えるご不安やお悩みに真摯に向き合い、治療後のサポートも15年の保証を付けて行わせていただいております。

骨造成の術式も、他に「サンドイッチ法」「仮骨延長術(かこつえんちょうじゅつ)」など、患者様の状況に合わせた方法が可能でです。
中でも仮骨延長術(かこつえんちょうじゅつ)と言う術式は日本で治療を受けれる歯科医院は数える程度で当院の強みの一つです。

インプラント治療についてのお悩みは、まずは無料のカウンセリングのご予約から承っております。
インプラント治療を受ける際は治療方法やインプラント体の特徴をご理解いただき、患者様ご自身で納得のいく選択が可能となるようサポート致します。

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