ソケットリフト 法/上顎洞底挙上術_骨造成術について

前回大まかな施術の方法を3点お伝えしましたが今回からは1つの術式を深堀りしていきます。

顎の骨の量が足りない人が、インプラント治療をできるようにするために行われるのが骨造成です。
骨造成には様々な種類があり、患者さんの骨の状態などによって選ぶべき術式が異なります。
今回はその中の「ソケットリフト法」をご紹介します。

 

【骨造成とは?】

骨造成とは、痩せてしまった骨を増やす手術の総称です。
上顎の上の頬の骨の中は空洞になっており、その部分のことを上顎洞(サイナス)と言います。
インプラント体は上顎洞の手前の上顎の骨の部分に埋める必要があり、そのためには一定の骨の高さと厚みが必要です。
しかし歯が抜けてしまったあと長期間放置していたり、年齢を重ねたことなどにより骨が痩せてしまうと、
インプラント体を収めるたに必要な骨が足りない場合があります。
そんな時、骨の高さや厚みのを確保するために行う手術を骨造成といいます。

【ソケットリフト法】

ソケットリフト法とは、上顎の骨の高さが足りない場合に採用される術式です。
骨の高さが十分ではない状態ではあるものの、7mm以上あるケースでこのソケットリフト法が適用され、それ以下の高さであればサイナスリフト法が採用されます。
※6~7mmの場合は年齢を考慮してどちらの術式になるかを決めます。

 

【ソケットリフト法の特徴】

ソケットリフト法では、インプラントを埋入する部分に穴を開けるため、
サイナスリフト法と比べて外科的侵襲がはるかに少なく、傷口が小さくて済み、細菌感染のリスクが低いという特徴があります。
骨造成の中で、比較的リスクが少なく安全な方法であると言えるでしょう。
また、処置時間が短く済むことも患者さんにとってメリットです。

 

【ソケットリフト法の歴史】

・歴史
1994年Summers(アメリカ)により考案された術式が発表された。

・術式
インプラント体を埋入するときに上顎の奥の骨の高さがやや足りない場合(残ってる骨の高さが7mm以上)、
上顎の骨を少しだけ残してその骨ごと上顎洞を覆っている粘膜(シュナイダー膜)を持ち上げ、そこに骨を増やしてインプラントを同時に埋め込む方法。
盲目的手技(目で直接見えないところを手術する)であるので、手の感覚が非常に重要となる。
感覚が大事な手術は、医療者が教材(本、DVDなど)を見ても実際の感覚が分からないので、手技をきちんと習得し習熟するには時間がかかる。

・使用する器具

【長所】
手術時間が短い。
腫れがほとんどでない。
治療期間が短くて済む(最短2ヶ月)

【短所と短所に対する対応】 
短所1.増やせる骨の量に限界がある(3~4mm)
短所1に対する対応策:それ以上必要であればサイナスリフト法を行う

短所2.盲目的手技であるので、粘膜が破損したことに気づかず、骨補填剤を入れてしまうと、骨補填剤が副鼻腔の自然口を塞いでしまい副鼻腔炎を起こす可能性が高くなる

短所2に対する対応策:①骨補填剤を入れず、自己血液によって骨再生をさせる ②この術式の限界量(3~4mm)を超えない

 

【ソケットリフト法の手順】

ソケットリフト法は、治療を受ける医院によって使用する器具などに違いがある場合がありますが、以下のような手順で進められます。

    ①インプラントを埋入する箇所の顎の骨に穴を開けます。
    ②上顎洞粘膜(シュナイダー膜)を傷つけないようにするために、上顎洞まで1mm程度になったところでドリリングを止めます。
    ③残した骨を、ピエゾサージェリーで切削します。
    ④顎の骨に開けた穴からオステオトームという円柱状の専用器具を使って、口腔内からシュナイダー膜を少しずつ押し上げます。
    ⑤基本的には、このタイミングで同時にインプラントを埋入しますが、骨の状態によって後日になる場合もあります。
    ⑥2〜4ヵ月ほど経過して、インプラントが骨に固定したのを確認し、人工歯を装着します。(インプラントが骨としっかりと固まるまでの期間には個人差があります。)

※ピエゾサージェリーとは?
硬組織だけを選んで切断ができる、三次元超音波振動を利用して骨を切削する新しい外科手術器具です。
これまでの方法では、粘膜や歯肉、神経や血管などの軟組織部を傷つけるリスクがありましたが、ピエゾサージェリーでは硬組織だけを切断できるので安全性が飛躍的に高まりました。
また、施術時間を短縮することができるというメリットもあります。

【最後に】

骨造成の手術は簡単なものではなく、医師のスキルや経験が求められます。
しかし、ピエゾサージェリーなどの手術器具などが充実してきたことにより、より安全に手術が行えるようになっています。
今回ご紹介したように、ソケットリフト法を行うためには、残っている骨の高さが7mm以上必要です。
安全な方法であるからといって、患者さんの希望だけで術式を選ぶことはできません。
主治医にしっかりと診察をしてもらい、最適な治療方法を選ぶようにしてくださいね。

 

神奈川県横浜市にある「長津田南口デンタルクリニック」では、患者さまの抱えるご不安やお悩みに真摯に向き合い、治療後のサポートも15年の保証を付けて行わせていただいております。

骨造成の術式も、他に「サンドイッチ法」「仮骨延長術(かこつえんちょうじゅつ)」など、患者様の状況に合わせた方法が可能でです。
中でも仮骨延長術(かこつえんちょうじゅつ)と言う術式は日本で治療を受けれる歯科医院は数える程度で当院の強みの一つです。

インプラント治療についてのお悩みは、まずは無料のカウンセリングのご予約から承っております。
インプラント治療を受ける際は治療方法やインプラント体の特徴をご理解いただき、患者様ご自身で納得のいく選択が可能となるようサポート致します。

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